2004.12.28
(神奈川・A海岸)
 
…ナツメモドキ。南紀あたりでは潮溜まりの転石裏あたりによく見るが…。連れ帰ってからはあまり元気がなくて外套膜は出してくれなかった。
 
 
ヤクシマ幼貝3態。幼貝の同定は成貝以上に自信がない。この貝も帰宅してようやく確信が持てた次第。神奈川では成貝になることはごく珍しい。さすがに寒さがこたえているのか、動きは鈍かった。
 
 
…今回の収穫。左からヤクシマ幼貝(49mm)、上段キイロ2ケ(小は15.5mm)、下段ナツメモドキ、ハナビラ。
キイロのほうがハナビラよりも数はかなり多かった印象。ハナビラは未成貝もいくつか見かけた。ナツメはこれらよりぐんと少ない。
…遅くなりそうだった用事がそれほどにもならず、夜空を眺めると星空。ということでむらむらと漁火欲がわきあがり発作的に海へ。二匹目の泥鰌を狙いにA海岸へ再び乗り込んだ。今回は前回よりさらに南側の場所に。
 
ウエーダーを着て早速探索を開始。ところが丸い貝の気配がまったくなし。女郎花やメ・チャイロすらいない。散々探し回ってハナマルが1ケのみ。これはだめだとさらに南へ移動し、10月にも行ったポイントへ。ところがここも不発。バーベキュー軍団や磯遊び客の多いところなので場荒れしてしまったのか…。ため息をつきつつさらに移動していくと、ようやく波打ち際の岩の上に大型のハナビラを見つける。が、その後は続かず沈黙の時が過ぎていった。
 
さらに南側の磯場にちらちらとライトが2つ見えたので、そちらへとまた移動。そうしたらすぐにキイロ発見。ようやくお宝の生息地に当たったようで、岩の割れ目や穴にハナマル・メ・女郎花らがぞくぞくとあらわれ出す。キイロも思いのほか多かった(すべて成貝、全部で20以上は見たかな)。
 
と、あちこちの穴や割れ目にハナマルやメが入っているアパート様の岩を発見、丹念に覗いていくとちょうど一階部分に当たる小穴の中に明らかに感じの違う、しかし見覚えのある外套膜がちらりと見えた。
 
???????‥‥‥‥。
 
ピンセットで引っ張り出されたのは、夏の南紀でおなじみのナツメモドキ君(結構大きめ)であった。当地では時折採集されるが幼貝や未成貝が多く、やや若いながらも生成貝は嬉しい収穫であった。ごく浅いところに棲むゆえに、真っ先に冬の寒さでやられる、と聞いていたが、海水温の温かさに救われたのかもしれない。(キイロも成貝ばかりだったし。)
 
更新ネタができたとほくそえみつつ、強欲モード発動で意気あがり、さらに探索続行。クロ成貝がでてこないか、と小穴を探すものの、残念ながらメに欺かれるばかり。再び沈黙の時が続く。
 
…小穴探索もちょっと飽きたので、とある岩の下部が大きくえぐれたさらに奥の大きい穴を覗き込む。すると馬糞海胆の向うに、当地では見かけぬ褐色の絣模様を持つ殻がライトに照らされて浮かび上がる。
 
しかも‥‥‥‥‥大きい。
 
何だこりゃ‥‥???? でも何となく見覚えも…あるような?
 
何かしら大物の幼貝?の予感に、ちょっとわくわくしつつ寝そべって岩穴に手を突っ込む。もし幼貝なら殻、特に口が薄いのは必定なので慎重にはがして引っ張り出す。しかしてその正体は…
 
…やはり南紀でおなじみのヤクシマの幼貝でした。これもまた黒潮の運んだ珍客、当地では幼貝の打上げは見かけたことはあるものの、生貝は自己初めて。先だっての漁火でt姐と「この季節、ホシやヤクシマも…」なんて会話をしていたのを思い出し、しばし「うーむ…」と唸るばかりの私でありました。
 
…その後、ハナビラやキイロを若干追加したが、雨も降り出し潮も上げ、しかもえらく気温が下がってきたので急いで撤収した。そして車のところまで戻ったら途端に横なぐりの雨。海水を汲むのを忘れて慌ててもう一度浜に戻ったりしていたら、体もすっかり冷え切ってしまった。
 
…それにしても、まだ海水は温かなのか、南方系の貝たちはまだ大丈夫そう。次の新月の大潮も楽しめるのか??