2006.11.24 (神奈川・A海岸)
…K海岸に続き、A海岸の今年を占うために出撃。2日前同様、気温は高めで穏やかそう。
22時に無人の駐車スペースに車を止める。天気は晴れ。
 
とっとと着替えを済ませ、出撃。波は穏やかで期待が膨らむ。よく磯遊びの人が入っているあたりはざっと見て、2年前大物を見付けたポイント周辺を集中的に狙うこととする。
 
ざっと見たエリアでは最初オミナエシがポツポツ。やや小磯っぽいところで花丸幼貝1にメダカラ少々。☆キヌタも一つ。うーむと唸りつつ先へ。
 
探索開始1時間、いよいよメインと目したポイントへ。岩の割れ目や下をのぞき込むが、残念ながらメとチャイロキヌタのみ。割れ目に潜んでいたキイロ幼貝1を見付け、今年も来ていたかと安堵する。勢い込んで2年前、ハチジョウとクチムラサキ幼貝を連続ゲットした本命の岩棚下に乗り込むが、今回は違う貝と馬糞海胆ばかり。周辺も細かく探索したものの不発に終わる。やや疲れを感じ、戻りがてらキイロ・ハナビラの状況を見るため、少し高い潮だまりをのぞく。程なく隠れる気もないキイロ若貝1。が、後が続かない。その後同じラインの潮溜まりをちょぼちょぼ見ながら戻ったが、結局他の場所では見付けることはかなわなかった。
 
一旦車近くに戻り、イソバナの状況を見にいこうと思い立ち、岬先端へ。速い潮が流れるかなり深い溝を跳び越えなくてはならないポイントで、結構スリルがあるのだが波静かな今日なら大丈夫であろう。
 
…さて無事荒磯を乗り越え、先端部にたどり着いて見ると、流れる潮の中、岩陰に着くイソバナ群がはっきりわかる(多分深さは30cm位か)。のぞき眼鏡を持ってくればツグチ探索は出来そうであるが…。波が引いた瞬間に海面より上に出るイソバナも若干いたが、小さいので駄目であろう。
 
先端部から周辺の磯をチェック。ここはいつもそうなのだが、オミナエシがやたらに目立つのみ。キープする物もなく、岬を回り込んだ最奥の潮溜まりで探索終了。と、ここでよせばいいのに変な虫がうずきだす。ここは行き止まりなのだが、潮の引いている今なら磯伝いにP浜へ渡れそうだな、と…。
 
何も夜中にチャレンジするようなことではないのだが、大丈夫そうだなと磯伝いに先へ。程なくP浜も見えてくる。が、ここで平らな場所が途切れ、崖に行く手を阻まれる。3mほど先、2mほど下に平らな岩棚が見え、あそこに降りられれば問題なく先はつながっていることはP浜側からも確認している。崖は全くのつるつるではなく、小さな手がかり足がかりはある感じ。
 
 
 
「行くか?」 …一瞬迷ったが戻るとなればかなりの大回りとなる。面倒。
 
数秒で決断して大きく乗り出し、右手で割れ目を確保。さらに右足を岩の突起へ。
 
…そしてすぐ後悔。次の手がかりとなりそうなところが見あたらない。左へ戻ろう、と思ったが、思い切り右手右足に体重がかかっており無理。ため息。
 
岩に張り付いたまま、情けない気持ちで下を見る。数m下に暗くよどんだ海水。波静かだが、ここは深さ2mくらいはあるよなあ…。こんなので落ちたら間抜けだよなあ。寒そうだし。死にはしないだろうが…。
 
このままではラチが開かないので、必死に打開策を探る。右手を一杯に伸ばしたくらいに手がかりがある。ここしかないか。その先は何とかなりそう。そのためには左手左足を今右手右足があるところまで持ってくる必要がある。ただしこの崖、固い岩ではなく、あまり荷重をかけるといつ壊れるか保障はないのだが…行くしかないか。
 
まず左手を右手のもとに。泥岩を信用して、思い切り体重を預けるのも正直バカな話なのだがだが仕方がない。ともかく保ってくれよと念じつつ左足も引き寄せる。
 
そして右手を伸ばして…………確保!!!!
 
 
………数十秒後、無事岩棚に降り立つ。背中がびっしょりと汗をかいているのに気がつく。
 
 
苦労してたどりついたP浜であったが、ライトの下ざっと見回したが特によい物はなし。今日はこんなもんか。
 
…っと、ここで崖上から女の嬌声。この夜中に盛り上がったどこぞのバカップルが上で遊んでいる気配。バカな冒険で冷や汗をかいた腹立ち紛れに、目の前にいきなり這い上がって驚かせてやろうと思ったが、卒倒されても困るし(夜中の2時にいきなり崖下からあらわれたら…ねえ)、そういえばこちらもどう見ても「不審者度100%」の姿状況であるなあとすぐ思い直し、ライトを消して彼らが行きすぎるのを待った大人の私でありました。
 
教訓: 貧果だからといって無意味な冒険はやめませう。