2007.7.29〜 南国X島夏修業
  その1:「暑く、静かな海へ」
 
 昨年・一昨年とこの時期X島へと修業に出た私。昨年の様子から行くべきかどうか正直迷ったが、新しいポイント探しも含めて、もう一度攻めてみようと心に決めた。かくして払暁4時に家を出た私は、イメージトレーニングをしつつ(採らぬ狸的妄想、とも言えるが)まだ梅雨の明けぬ関東から一気に南の島へと乗り込んだのであった…。
…C浜。さあ、今年は何が飛び出すか?
 
 
       
    …ホソヤク正面より(ちょっとグロ)。腹足の裏は灰褐色。
 
      
       …ヤナギ幼貝?非常に素早くて撮影には苦労した。
 
   
…C浜での戦果(生貝)。上段左からホソヤクシマ・コモン・ハナマル
下段カモン・キイロ×2。右のフデガイはクリイロフデ。
 
…C浜での戦果(死殻)。左ムラクモ。右上段左からクチムラサキ・
イボ・テツアキチドリ。下段左からマメシボリ・アヤメ(Dwarf)。実はこの
ムラクモもDwarf。
 
 
 
 
 
 
 
 
…またまた来ました白クマ岬。今年は特に手前側は濁っていた。
 
…貧果の中でのオアシス、ヒメホシ。ちょっと刺激を与えるとすぐに外套膜をひっこめてしまい、撮影しずらかった。
 
    
…2日目白クマ岬での戦果。上段左からヒメホシ・ハナマル・キイロ
(ヤセタイプ)。下段左からツマムラサキメ・コモン×2。下段真ん中
のコモンは非常バンビロで気に入っている。
 
         
…追加。左ベニタケ・タガヤサンミナシ。このタガヤサンはヒメホシを
採ったすぐ近くで砂に埋もれていたモノ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
        
…リサーチにて飛び出した貝たち。上段ホシキヌタ×2、下段コモン
×2。
 
 
…キタイ浜にて。ほとんどがガスだけど…。小さいのがぽろぽろ
出てくるので引っ張られてしまった。
 
 
X島1日目:7月29日
 
…天気は上々、リーフエッジにも波が立っていないほどの凪ぎ状態。今シーズン初潜りの身にとっては誠に幸いである。ただし、気になるのは「今年は台風が全く来ていない」という宿人の言葉。熱帯の高気圧が居座り続け、こんなことはついぞない、という晴れ連続状態らしい。浅場の海水温の上昇が悪い方に向いていなければ良いのだが…。
 
早速宿に荷物を放り出し、まずは宿近くのC浜へ。ここはリーフエッジまでの距離が極端に短く、潮流が速い。が、行ってみてびっくり。ここですらエッジに波なし。ふーむ。潮はこれから大きく引きます、という感じ。
 
…取りあえず打ち上げを眺めてみるが、荒れがない以上、ロクなものは望めない。アヤメと口だけアミメがあった程度。去年あれほどあった千鳥は影も形もない。まあ仕方ないか。
 
さて、水中は如何にと探索開始(午前11時)。と、超浅場の珊瑚礫大からいきなりヤクシマが登場。が、ちょっと雰囲気が妙な感じ。老成してサイドもガッチリしているが、細長い。そして殻頂には濃茶の斑点が…!
 
ホソヤクシマ!!
 
おお、自己初ではないか。よしよし、幸先がいいぞ。早速強欲モード発動!
 
…などとほざきながらエッジ近くのクレバスを覗く。小さな貝溜まりがあり、ややガスのイボ。そしてその隣の艶のある貝は…チドリかと思ったがテツアキでないの!はっきりわかったのは今回
が初。今まで拾った打ち上げのガスチドリにも混じっていそうだが。さらにマメシボリの超FDも追加する。
 
クレバス探索続行。すると深みに大きな楕円形に「あの模様」が見える。ムラクモダカラ!この浜にもいたのだなあと拾いに行く。やや表面がガスっているがまあよし。ハラやジャノメは残念ながら見あたらず。その後、耳抜きの様子見がてらこの深みの底にある転石を試みる。…と、黒い外套膜の覆われた幼貝を発見。こいつはヤナギシボリの幼貝か???
 
さらにエッジ付近の転石を試み、海胆穴に籠もるハナマルを冷やかし、他に何かいないかと探ろうとしたら、探索用のデカピンセットがなくなっていることが判明。どうも途中ですっぽ抜けたらしい。これが地元だったら、すぐまた買えば良いとあきらめるのだが、この島ではどう見ても手に入るとは思えない。ダメ元で記憶をたどって逆戻り、半分あきらめ気分で探していると、何故か岩の上に腹を上に向けたコモンを発見。死殻と思ったら生貝だった。老成してサイドがガッチリしていたのでキープ。さらに逆戻りしていくと、エッジ付近のくぼみの底に沈んでいるピンセットを無事発見!助かった。よしよし。
 
…上機嫌でエッジ付近を流していると、今度は何故か生きた珊瑚上にぴかぴかのカモンダカラ。拾い上げて口を見るとわずかに肉が見える。どうやら死んで間もない個体らしい。ありがたくキープ(どうもこの貝とは巡り合わせが悪いので…)。その後は浅場で比較用にキイロを2つ拾ったところで、遠くで雷鳴が聞こえたので撤収とする。
 
取りあえず初採集モノもあったし、去年より良い感触を感じた初日でありました。後は宿で冷え冷えの生をやっつけるのみだあ!
 
 
X島2日目:7月30日
 
朝のうちからやや雲があってしのぎやすい。本日から車を借りて動くことにする。去年の反省を元に、もう少し探索範囲を広げてみようという思いから。朝、レンタカー屋で車を受け取り、水や食料を調達し、まずはシロクマ岬へ向かう。白クマ人形はもちろんなかったが、洞窟壁の中学生の落書きは健在であった。潮はまだかなり満ちており、浅場からエッジまで問題なく行けそう。風は少々あるが波は全くなし。
 
水中メガネをつけて水に顔をつけた途端、目の前にベニタケが転がっている。ヤドカリ様の住み処だったが、きれいだったので思わずキープ。(肉抜きがないので楽、と思っていたら、先端付近に砂やら海藻くずやらが入っているらしく、まだ臭う…)
 
途中のラグーンで転石を試みつつ前へ。水温が妙に高く感じる。魚の姿も少ない。うーむ。出て来たのは若いコモンのみ。
 
ここは去年通りか、と思いつつ先へ。先端に近づき、浅くなってきたところで転石続行。ここではお馴染みの痩せキイロを採集。相変わらず同種とは思えぬゴツゴツした姿だ。
 
所々にある礫を返しながら進むとリーフ先端に出る。今年は結構先端部にも良さげな大礫が目立ち、期待しつつめくるが不発。うーむ。ツマムラサキメダカラのややガス殻を拾った程度に終わる。気を取り直し、暗がりや穴を覗くがこれまた不発。難しい。もう昼近くなり、これ以上引くと泳いで帰りにくくなりそうなので、戻りながらラグーンでの転石に切り替える。が、相変わらず貝の姿は薄い。出てくるのはコモンとキイロのみ。
 
今年もだめか、といい加減うんざりしてきたところで、何の気なしに枝珊瑚の固まりを拾い上げ、裏返す。と、違う模様のお宝が登場。
 
ヒメホシダカラ!
 
かなり小さいが良く老成した個体。あきらめないで良かった。この貝とも縁がなかったので嬉しい出会いとなった。強欲モード本日も発動!近くの礫を返しまくるが、不発。大きなタガヤサンミナシを一つ土産用にキープして上陸した。午後2時。帰り際に岸を歩きながら、あわよくばナツメ狙いの転石を試みるが背中の荷物が重く断念。まあ明日でいいか。
 
さて車に戻って次を考える。昨晩、地図を見て狙いをつけた岬を偵察しよう。近くの集落にうまい八重山そばを出す店があるらしいので、腹ごしらえにもちょうど良い。
 
即決して車を飛ばす。10数分後、店を発見。
やれうれしや、と車を乗り入れようとすると目に入った憎き5文字。
 
 
 
 
 
 
本日定休日(…。)
 
 
 
 
 
 
仕方なくスーパーでメロンパンを購入し、集落の海岸べりに車を止めぼそぼそと食す。雲が少なくなり、強烈な日差しが戻ってきた。
 
さて気を取り直しリサーチ開始。ほぼ干潮で入り江の中は大きく干上がっている。はるか遠くのリーフエッジにやや白波。入り江内であわよくばナツメ、の転石をするが不発。あまりしつこくしても時間がなくなるので岬方向へと急ぐ。入り江を出るとかなりの転石がある岩浜に。お宝ラインを確かめるべくちょこちょこと返してみる。ハナビラ・キイロが出ないので首をひねっていると、大きめの礫下からいきなりコモン×2、ホシキヌタ×2が登場。ホシキヌタはX島では初めて見た。少し気を入れて転石を続けるが、後は全く現れず。…うーむ。ここも厳しいか、と思っていると足下にチリメンダカラの殻が落ちている。良い傾向なのだが…。迷うところ。
 
さて、岬先端部に取り付いてみると、かなりの大岩が転がっており、のぞくと足下からそこそこ水深がありそうなムード。ふむ。
 
さらに先端部手前に小さな浜があり、珍しく打ち上げ貝の溜まりがあったので様子見につついてみる。すると、ほとんどガスなのだが、
 
ヤナギシボリ・クチムラサキ・イボ・チドリ・メノウチドリ・コゲチドリ・マメシボリ・エ・アミメ・サバ・ウキ・ナシジ・サメ・シボリ(ここでは珍?
さらに破片でジャノメ・ムラクモ・ハチジョウ。
 
 
…「打上げ場所必ずしも産地にあらず」という名言はあるけどなあ。まあいい、明日はここで潜ることにしよう。
 
自分の中でこの浜を「キタイ浜」と名付け、さらに貝溜まりをみると次々面白いモノが出てくるので、つい熱中してしまう(今日は疲れ気味なので午後は潜りはやめたのだが、炎天下打ち上げ探しの方がよっぽど過酷だ…アホだねえ。)。
 
…まだ未練を残しつつもさらに先へ。岬先端を回り込むと、地図通りまた大きな入り江が見えてくる。そしてすぐ前にもう一つ砂浜。ここまで結構な距離を来たので、反対側から来るルートも確かめようとその浜へ向かいかけるも、波の音に混じって何とも妙なる響きが耳に入ってくる。目をこらすと、どっかの兄ちゃんが浜に一人たたずみ横笛を吹いている。格好良いといえば格好良いシチュエーションなのだが、何とも言えぬ不気味さも漂う。目が合っちゃったらやだなあとも思い、引き返すことにする。どのみち人がいる、ということはあの「横笛浜」(即命名)へ行ける別ルートがあるのは確実だったので。
 
さて、戻り始めると急速に潮が上げてきており、急がねばならない。中ほどまで戻ったところで ポツリと雨粒が顔に当たった、と思った次の瞬間から一気に大スコール!ずぶ濡れになって岩穴へ逃げ込むハメに。やれやれ。その後、車で道を探索し、かの横笛浜に行くルートを確認、今日もシャワーとうまいビールの待つ宿へと急いだのであった。 
                  (つづく)