2010. 12. 22  (神奈川・K海岸  
 ようやく一連の仕事も山を越え、体調も回復してきたのでこの大潮は逃したくない。低気圧の通過直後で風波がいささか心配ではあったが、天気は快晴、南風が入り込んだためか暖かい。波予報を見ると2m…収まるほうに向かっているようだし、何とかなるかと22時過ぎに出発する。東の空には煌々とした月齢17の月。海水温も高そうだし、真冬並みの低温もまだ一度だけなので、南方系に期待がかかる。あれこれと妄想をめぐらしつつ一路K海岸へ。

 駐車スペースは森閑として車の影はなし。見渡すと水平線の向こうにうっすら月明かりに輝く白富士。それにしても思ったより波が高い。干潮まであと1時間少しだが、あまり沖目は探索できない雰囲気。

 そそくさと着替えを済ませて一年ぶりの夜磯へ。本日は防水カメラを忘れてしまったため、探索に集中するのみ。

 手前の岩下から探索開始。すぐホシキヌタ若貝、岩の上に蹲るキイロが見つかる。若成貝。さらにハナビラ成貝。こちらはよく老成している。さらにハナマルが次々に、やや若いくらいの成貝。さらにヤクシマ幼貝1も。海水も生ぬるい感じで明らかに水温が高く、南方系の成長にもプラスになっているようだ。


 さらに進むと、岩陰の小さな割れ目に見覚えのある黒い丸斑点がちらりとのぞく。近くにもうひとつ。
 
 
クロダカラ!
 
 
 
…開始早々、来た甲斐があるものを発見できて意気が上がる。よしよし。
 
 月明かりがかなりあったので、暗闇に潜むものもいそうか、と転石も試みる。すぐにハナビラのペア。これまたしっかり老成している。ハナマルもぽつぽつ。すぐまた岩陰にナツメモドキ成貝。とにかくいろいろと飛び出してくる。お宝の香り濃厚ないい感じ。
 
 生ウキかカモン、サバ系あたりが飛び出さないかと気を入れて転石を続けると、50cmほどの礫を裏返した刹那、やや大きめの褐色の塊が落ちていくのが見えた。藻のようだが明らかに違う。オミナエシか??濁りが晴れるのを待って落ちていった先を凝視する。程なく見つけて指でつまんだ時、サイドに大きな斑紋が見えた。
 
 
 
コモンダカラ!
 
 
 
 手にとって見ると、しっかり老成している。南紀やX島では普通すぎて軽んじられている感があるが、北限近い当地では、若い成貝はよく打ち上げられているのを見るが、生は意外にも自己初。やや深めなのかもしれないと思っていたが…。
 
 とにもかくにも生初はうれしい。強欲モード発動!
 
 
…ここからハナマルタイムへ突入。久々に個体数の多さを感じる。めぼしい岩穴や割れ目には必ず入っている。そのためか、シボリやホシキヌタ、メ、オミナエシはさっぱり目立たない。
 
そんな中、岩陰でコモン成貝1を追加。これも厚みのある老成した貝。さらにクロ2つも発見。ひとつは穴の奥深くで断念、ひとつは何とか引っ張り出す。いいぞ。
 
ふとわれに返ると1時近く。潮が早くもあげ始め、波も激しさを増している。やや疲れを感じつつ覗きこんだ岩陰に大きな丸い姿。黒っぽい縞も見える。ヤクシマ!
 
まだ口はできていない感じだが、かなり成長した幼貝。すぐとなりにもう少し若い個体も確認。引っ張り出そうと思ったが、殻が薄くて割れそうだったのでスルー。何とか口ができるまでがんばれよと呟いて立ち去る。
 
 やや疲れを感じ、風はないのだが波はますます高まってくるようなのでここで撤収とした。
夏の高温や水温上昇のせいか、予想通り南方系が強そうな感じであった。これは年明けまで楽しめるか???
 
 
 
 
…特にこの仲間(Erosaria)は、外套膜全開状態では正体かわかりにくい。ほぼこの状態で岩裏から落下していきました。
 
 
 
 
 
…コモン。当地では老成してサイドが張り出す個体は少ないのです。
 
 
 
 
 
…本日の収穫。およそ南紀のようなゲット品??クロもよく老成して丸っこい感じの個体が得られた。