2007. 11. 8  (神奈川・K海岸)  
…仕事ラッシュの10月は全く動けず。そうこうしているうちに早11月、漁火のシーズン。


今月の新月満潮は何とかしたいなあ、と思い潮の具合を見れば今週末がチャンス。では土曜日をと目論んでいると不吉な天気予報が…。週末は低気圧が接近し天気が崩れ、風が強まるだと。土曜の波高予報は2m、引き具合は土日の方が良いのだが、これでは低い磯では結構苦戦を強いられること必定。こうなれば早めに出撃するに限る。


というわけで前倒しで金曜夜出撃を決定。干潮は22時半過ぎで27cm、波高予報は1m、水温は19度。夕方からぱらつきはじめた雨はそこそこ降っている状況。しかしほぼ無風。雨は嫌だが風が強いよりはましだ。まずは仕事帰りに釣り店に立ち寄り、長らく活躍してきたがついに破壊したウエストバッグを新調する。近くに置いてあった「のぞき」も叩き売りしていたのでついでに購入(雨だと潮溜まりの中が見にくいので)。


20時過ぎに出撃。行き先はちょっと迷ったがお久しぶりのK海岸にする。お馴染みの駐車場に止めたときは雨もやや強まってきていた。が、後には引けぬ。遠目で見ると波は静かで波音も小さい。これなら低い磯の多いあたりもいけそうだ。


…そそくさと着替えて無人の磯へ。1年ぶりの漁火、何が飛び出すか期待に胸膨らませる一瞬。
波打ち際付近の岩から先へ踏み込む。と、すぐに岩穴の中に黒っぽい外套膜。突っつくとハナマル幼貝。昨年はここらでは全く見なかったので良い傾向だとほくそ笑む。

さらに先へ向かうと海藻に埋もれるようにキイロ。やや若い成貝、かなり白っぽい個体。南方系、今年は来ているようだ。子細に付近の岩穴を見ていくとハナマルの姿が多い(成貝は少なく幼貝がほとんどだが)。後はお馴染みメ・オミナエシ・ホシキヌがパラパラ。


…先に進む。低く平らな磯が連なるところから、やや切り立った岩が連続する期待のエリアへ。相変わらずハナマル幼貝が一番顔を出す感じ。ホシキヌは去年ほど目立たない。そうこうしているうちに、3年前黒生アダルトを採った付近へ。気合いを入れて小穴をのぞき込んでいく。ハナマルの密度も濃い感じで良い雰囲気。何個目かのハナマルを冷やかした直後、すぐ横の拳大の岩穴で視線が止まる。



細長く小さい姿。何より、薄ぼけたグレーの外套膜に覆われている。そしてこのボケ加減といえば…。







確信してつまみ取る。サイドに黒斑、3年ぶりの再会。
…ハナマル。おなじみ過ぎて?まともな写真がなかったので撮ってみました。
 
 
…クロ生横から。暗くしてずいぶん待ったが、外套膜はなかなか出してくれない。ちょっと弱っていたのかも。
 
…クロ頭部クローズアップ。オレンジ色の触角がかわいい。
 
…いろいろ手にしたがお持ち帰りはこの3つ。左ハナマル・中キイロ・右クロ。
 
…黒生アダルト!!!!
 
 
 
 
やったね!と一人完爾としつつ、強欲モード発動!
 
 
…と、ここで気づいたのだが、明らかに波が高くなってきている。時計を見ればほぼ干潮。岩をよじ登って高みに上がると、やはり風に背中を押される。ここから先、荒磯っぽいところを見るには急いだ方が良さそうだ。とはいうものの、その手前の低い磯や潮溜まりも気になるところ。なるようになるかとペースを崩さず探索続行。小穴にハナマル連打が続く中、スルーしようと思った岩にちらりと細長い姿が…。螺塔がハナマルにしては高い。近づくと表面にかすり模様。
 
 
 
これは…
ヤクシマ幼貝!
 
 
一応岩からはがして確認。ふと周囲を見回せば、一昨年ほぼ同じ場所でヤクシマ幼貝を見つけた地点だったことを思い出す。ふーむ、またもや…。
 
取りあえず、もとの岩穴へリリースする。あと1〜2ヶ月で少しでも育てよ。
 
 
さらに先へ。風が明らかに出てきて波も高まっている。磯の先端部は避けて潮溜まり付近を集中探索。メが多くオミナエシは少なめ。チャイロキヌタは姿を見せず。キイロはあれっきり。ここではそれほど着いていないのか。うーむ…。
 
砂浜を越えて昨年サメをゲットした付近へ。入り江状のところなので波は静かだが、潮が上がり始めている。サメを見つけた岩穴も水面下。あきらめて周囲の岩陰を探索する。ここはメだらけ。突き出した岩の下、そこここで「ぶら下がり」している。
 
…と、一つだけ妙に黒っぽい。???と思いつまみ上げて見る。あら。
 
 
黒生(亜成貝)。
 
 
…見付かるときはこんなものか。背中には雀斑模様が出始めていたが、口を見るとまだ未完成だったのでリリース。水温が高めに推移すれば越冬出来るかもなあ。
 
 
さすがにくたびれてきたし、潮も急に上がってきたようなのでここで撤収。幼貝が多かったが、種類からみても、来月に期待がつながることになった採集行でありました。