2007. 9. 15  (神奈川・A海岸)  
 先週に引き続きA海岸。といっても、本日の狙いははっきりしている。言うまでもなく、今日こそ、2年越しの自分の中の懸案事項を何とかしよう、と思ったからである。毎回のように拾ってはいるものの、生をここでは見たことない、打ち上げの癒し系ことツグチガイ。

 一昨年の採集記にあるように、ポイントになりそうな場所はほぼわかっていたが、昨年度はタイミングが合わずここでは潜ることはできなかった。

 干潮は昼ごろ、ただしそれほど引かない(中潮)。天気は上々だが、波は1mから午後に1.5mの予報が出ている。大したことなさそうなのだが風は南風、さらに沖縄を襲うナーリーからのうねりの影響が果たしてどうか…。潮の速いところなのでやや心配である。



車を止め、そそくさと着替えを済ませて最小限の荷物を持ち、ポイントへ向かう。



…悪い予感は当たった。



周りはそうでもないが、やはりここは白波がかなりきつい。波がおさまった瞬間はイケそうな感じなのだが、視界はかなり悪そう。どうしようか?海面を睨みながらしばし考える。



…結論。まあここまで来たことだし、行ってみよう。入水。


入った瞬間、強烈な流れ。岩に掴まってやり過ごし前方へ。すぐに目指す地点へ到着する。


…がしかし、間断なく襲う流れと波は想像以上。おさまった瞬間もほぼホワイトアウト状態。X海岸での荒行の時もここまでではなかった。一瞬のスキをついて岩の間をのぞき込むが、小さなゴミと泡で視界は極悪。そして次の波で容赦なく流される。



さすがにこれではお手上げである。たまらず一旦上陸、次の方策を考える。

…実は入水場所直下の岩陰にも、イソバナが点在していることは以前からわかっている。狙ったポイントほど繁茂していないのだが、この状態では次善の策に頼らざるを得まい。

というわけで足もと直下へ。もちろん流れと波は結構あるが、先ほどよりはまし。両足と左手でがっちり岩をキープし、流れに備える。そして岩陰にぐっと頭を突っ込み、最初にあったイソバナに目を寄せる。
……………………いた。根元近くに、あの姿。 
息が一杯一杯だったので、一旦浮上。再度チャレンジして右手でキープする。
小ぶりながら成貝。ようやく当地で発見できた。やったあ。
 
さらに周辺のイソバナを探索したが、後は続かず。ちょうど干潮の時を迎えたのだが、波と潮はさらに勢いを増すばかり。ここでも体を支えるのも難しくなってきたので撤収を決定。懸案事項を解決できたので悔いはない。揚がると指や二の腕、腿の筋肉が引きつる感じ。知らぬ間にかなり力を入れていたらしい。やれやれ、明日が思いやられるなあ。
 
…と、ここで水滴の付いたメガネをぬぐおうとしたら、片方の弦を止めるネジが折れ飛ぶアクシデント。まあ、もうひとつ弦はあるのでかけることは出来るのでいいや(過去、屋久島で単独山登り中、同じことがあったが何とかなったので。)。どのみち、パッと見では他人にはわかるまい。
 
 
時はまだ昼過ぎ。そこで、波の穏やかな小磯へ移動して浅場の転石を試みることにする。
 
 
早速入水。ウニが多くやや磯焼け気味なのは以前と同様。クレバス状の深みに溜まる転石を狙ってみる。
 
 
大きめの転石をめくっていると、チャイロキヌタ・メがポツポツ。まあこんなものかと思っていると、真っ黒の外套膜に薄い褐色の殻が登場。カミスジ!
 
…いるにはいるが、探すとなるとなかなか出てこない代物。よしよし。
 
 さらに探索続行。またまたチャイロ&メが続々。そうこうしているうちに、ここも潮が上げ始め、外の海水が入ってくる。一段と冷たい上にうねりも増して来る感じ。大ぶりできれいなチャイロを一つキープした後、体が冷えてかなわなくなってきたので揚がることとする。
 
 体を乾かしがてら、付近の打ち上げを見ていく。さすがにクラゲの姿は消え去っていたが、ゴミの中にフィートゥの残り福を探す。程なく見付かった青い姿。やや破損はあるがルリガイ。さらに周辺を探り、自己最大の殻をゲットすることができた。
 
 その後、車に戻ったがまだ時間があったのでP浜へちょっと行ってみる。波打ち際あたりの小さい貝狙い。すぐに新しめのツグチを一つ。深く頷きつつ、さらに周囲に目をやるともう一つ。生貝ゲット後であるが、何やら意義深さを感じつつ、日の傾きかけた浜で一人完爾とした私でありました。
 
…残り福ルリガイ。最大のは31.3mm。WRは39.6だとか。
 
…打ち上げツグチ。納得納得。
 
…ついに見付けた、ここでの初生ツグチ。ようやく懸案事項自己解決。
やれやれ。
 
…カミスジ2態。黒ずくめだが突起の一部が白っぽい。
 
…比較、というわけではないがチャイロキヌタ。外套膜はカミスジに同じ。
 
…左カミスジ、中チャイロキヌタ、右ツグチ。もう少し波の穏やかな日に探して
みたいものだ。